シュガー・ラッシュ

監督 リッチ・ムーア
出演 ラルフ/ジョン・C・ライリー
制作 2012年アメリカ

今までやってきたゲームの全てに、ありがとうという気持ちが起こる

(2013年05月07日更新)

  • 元は酒屋さんの倉庫だったらしい。 店の中に入ると、陽が入らないためか薄暗く、まだ白昼だというのに裸電球が何本か無造作に天井からぶら下がっただけのあかりの中、幾台かのテーブルが置かれてあり、それぞれ楽しそうな電子音楽を流している。 奥には小学生高学年くらいの筐体が整理されて何台か置かれてあり、チカチカとネオンを光らせながら、同じく音楽を流している。 子どもたちはめいめい、それらテーブルの前に座り、筐体の前に立ち、コインを台の下に投入すると、スティックを握ってボタンに手をかけると、ゲームがスタートするのを待っている。 僕が子どもの頃の遊び場の一つだった、ゲームセンターはおおよそこういう感じのところが多かったように思う。 僕が通った阪急三国駅のゲームセンターは、本当に薄暗い中で、たくさんの子ども達が毎日のようにゲームに興じていた。 ゲーム代金は大体50円くらいだったように記憶している。 当時は「平安京エイリアン」のあとに出た「インベーダー」のブームを受けて、「ブロックくずし」や「パックマン」などの、今でも形を変えて見かけるゲームが全盛だった。 「ドンキーコング」「スーパーマリオブラザーズ」などのニンテンドーブランドもこの頃出てきたように思う。 ナムコの「ゼビウス」が出た頃には、全面クリアするために毎日のように小遣いを握りしめて、近くのファンシーショップまで自転車を走らせて、ゲームに興じていた。 あの頃は人気者になるための要素として「ゲームの上手さ」もあったように思う。 僕は「ゼビウス」と「クレイジークライマー」にハマリ、相当の腕前だった。 そんなに夢中になったゲームセンターも、高校生になる頃には行かなくなってしまい、多分家庭用ゲーム機の影響もあったのだろうが、社会人になってたまに外回りの空き時間に行ったくらいで、後はとんとご無沙汰になっていた。 それからしばらくして、子どもが生まれ、時間つぶしにとゲームセンターに行く事になると、その内容の変化に驚かされた。 映像の迫力、オンライン対戦、音と振動による体感。 五感すべてを使うゲームの多さに、恐怖さえ感じた。 「これ以上の刺激はあるのだろうか?」 それは僕たちが夢中になったゲームとは違って、遊園地のアトラクションに近いのかもしれない。 リアリティのある世界に脳がフル活動し、五感でゲームを感じ、興奮の中で満足を得ることができる。 確かに楽しい。 しかし昔のゲームの、1メートルに満たない画面の世界にあった、小さな愛らしいキャラクター達の奥ゆかしさは今のゲームには見ることができない。 少しの寂しさを感じてしまう。 あの「パックマン」のような無辜のキャラクター。 ゼビウスのような、2次元で動くもどかしさ。 「クレイジークライマー」のクリアした後のだからどうした感。 「マリオブラザーズ」の永遠ループ。 その単純さが懐かしく感じてしまう。 「シュガー・ラッシュ」を映画館で観に行こうと思ったのは、GWに風邪にやられて、子どもたちに後半どこにも連れて行ってやれなかった罪滅ぼしで行ったのも理由だが、そのへんの寂寥感があって、見たいなあと思ったのかもしれない。 確かにゲームセンターで対戦麻雀をやりながら、最近はシューティングゲームがないのね何て思っていた自分がいたので、結構楽しみに映画に臨んだ。 内容は荒唐無稽。しかしそんなことはアニメなのでどうでも良い。 何よりも古くからのゲームが主人公であることが、何となく嬉しかった。(多分劇中のゲームは存在はしないだろうが・・・) アニメの中のレトロゲームの悪役が呟く。 「最近のゲームは何て残酷なんだ」 彼は、他のゲームの中に入って、たくさんのエイリアンに襲われながらそう言う。 「君は何てドットが細かくて美しいんだ」 レトロゲームからすると今のゲームの女性キャラクターは余りにも綺麗に見えただろう。 まさに僕が今のゲームセンターに思うのと同じである。 映画の中のセリフに、同意をしている自分がいる。 見終わったあと、どこかで、今までやってきたゲームの全てに、ありがとうという気持ちが起こる。 ゲームは本当に楽しいものだし、童心に帰してくれるものだと、この映画を観て感じることができた。 P.S 特に「ナムコ」ゲームが好きな人はお勧めです。 あとファミコン世代の方は懐かしい裏技に出会えます。
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