ザ・コミットメンツ

監督 アラン・パーカー
出演 ロバート・アーキンズ
制作 1991年イングランド

音楽にある自由さと若者のまっすぐさ

(2015年05月01日更新)

  • 最近のJ-POPのヒットチャートを見ていて、男女が入り混じったバンドが多いことに気づく。 男女のユニットと言えば、古くは「ダンシング・クイーン」のアバが代表格だが、日本でも古くはハイファイセットとかドリカムなんかがすぐに思い浮かぶ。 バンドと言えば長期間、スタジオに籠って音楽を作るわけなので、男女間の関係は大丈夫かしらんと、いらぬ心配をしてしまうのだが、最近の若い人はその辺はドライなのか、純粋に同じ音楽が好きなものが集まった感じがとても良い。 ネットなんかでも「goose house」というユニットのカバー曲群を聞くと、とても楽しそうで、へたくそながら趣味だけでギターを弾く身としては楽しそうで参加したいなあ、なんてことを思うわけである。 こういう書き出しで書くと、音楽の話を書くのかなあと思わせておいて、今回は男女間の友情について書く。 個人的な見解では、男女間の友情は成立はするが、かなりレアであると思っている。 その根拠を男女間の会話に例えてみる。 例えば男性は会話をするときに、どれだけ自分が優れているかに着目してもらおうとするのに対し、女性は自らの行為行動に同調を求める。 簡単に言うと、男性は「あなたって凄いのね」と言ってもらおうと話をし、女性は「あなたって頑張っているのね」と言ってもらうことを期待する。 その感覚の違いから、男性と女性はどうしても相容れない部分があると思うわけである。 通常友情は相手を理解し、信頼感を持たなければ芽生えようも無く、男性が女性から信頼を得るためには、相手に同調し、相手の気持ちを安らがせる必要がある。 逆に女性が男性から信頼を得るには相手をほめていかなければ、友情が芽生えるのが難しい。 もしこの辺の波長があって、相手を信頼することができても、今度はそれが恋愛感情になってはいけない。 信頼を得るということは、同時にお互いを恋愛対象として見る時と同じ心理状態が働く。 恋愛感情も信頼から生まれ、やがて自分を理解する他人として相手に好意を寄せる。 男女間でどうしても超えなければいけないのは、このような恋愛感情に起因する特別な感情であり、友情が芽生える過程と、恋愛感情を持つ過程が似ているということであれば、既婚であるとかの障壁が無ければ、どうしても愛情に傾いてしまうだろう。 とは言え、人には好みというものがあり、ごく個人的なものが恋愛には関係するため、性欲求が優先しなければ、男女間の友情は芽生えるとは思う。 じゃあ、やっぱり友情は存在するんじゃんと思うかもしれないが、男はほとんど毎日エッチなことを想像する生き物で、どんな女性であっても、軽い下心は持ち合わせているものはずで、いくら気取った顔で、「俺は好きになった子としか付き合わない」的なことを言っていても、言い寄られたらその言葉も眉唾になってしまいがちである。 別に性欲求は男性だけにあるわけではないのだが、そういう観点が男女間の友情を難しくしているのではないか、と思うわけである。 個人的な見解はさておき、音楽の話に戻すと、最近のバンドが男女入り混じっているのは、一言で言うと男性が女性化しているのが要因と考えられる。 少し誤解が出るかもしれないと分かりつつも敢えて書くと、若い男性の傾向として、先に書いたような男性特有の支配欲や自己顕示欲が見られなくなり、周りとあわせて生きたいとか、なるべく平和に穏便にといったような感情が見て取れる。 そのため、自分の世界と違う人々を近づけず、自らのコミュニティーを作って行くような部分が今の若い世代には見られる。 オタク文化の活性化や、上昇志向の若者の減少に呼応するかのように、男女に限らない自分のコミュニティの創出が、今の若者文化のキーセンテンスになっているように感じる。 情報量がこれだけ増えた世の中で、個は限りなくグループ化していくのも何だか矛盾をしているのだが、SNSと言う開かれたツールを使いつつも、限定されたグループでやり取りを行う若者を見ていると、そう感じるのは僕だけだろうか。 というわけで、今回は古い映画だが「ザ・コミットメンツ」という、バンド映画を紹介する。 物語はアイルランドでソウルバンドを結成する夢を追いかける若者たちの群像劇なのだが、音楽にある自由さと若者のまっすぐさに昔の自分をタブらせて懐かしく映画を観てしまった。 僕はソウル音楽はさして詳しくは無いが、どのジャンルであっても、音楽は若い思いをまっすぐに表現することができる。 そして音楽を楽しむことで、様々な垣根を取り払うことができるのだろう。 それは男女の垣根も然りである。 そんな自由な音楽にも正確には垣根はある。 音楽はそもそも運動も勉強もできない人がモテる手段としてやるもので(偏見)、例えば筋肉少女帯に女性がいたら「何か違うなあ」である。 今の音楽がソフトになりつつあるのも、若者の意識の違いみたいなものはあるのだろうが、ある一定のマッチョな音楽は残しておいて欲しい。 ロックファンとしては、男女ユニットのバンドが増えることで、無骨なギターリストが減るかもしれないという危惧をはらんでいるので、何となく「男よ男らしく!」などと思ってしまう。 逆に女性が男性化して、ザック・ワイルダーとかマイケル・シェンカーのように、格好良くギターを弾く姿が拝める日が来るのかもしれない。 何はともあれ音楽はいくつになってもすばらしいものである。
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