華麗なるギャツビー

監督 バズ・ラーマン
出演 レオナルド・ディカプリオ トビー・マクガイア
制作 2013年アメリカ

貧乏な男は金持ちの令嬢とは結婚できない不当さ

(2014年01月04日更新)

  • 2014年の元旦、暇だったので珍しく購入した年末ジャンボの結果を見ていたら、ハズレくじの中で末番が8888のものがあり、縁起がいいなあと、少しだけテンションが上がった。 もちろん高い金額はかすりもしないのだが、購入時は色々と夢を馳せるもので、当たったら会社辞めてまずは長期旅行に出かけようとか、そして旅行先で見たGDPが低い国に学校を作ったりしていい人ぶろうとか、そんなことを考えるのだが、宝くじの醍醐味はこの夢見る時間にあるのかもしれない。 どこかにも書いたが、宝くじで1等が当たる確率は、宝くじを買った帰りに車にひかれる確率よりも低い。 宝くじを買って無事に帰って来れたところを見ると、当たっているはずがないのである。 そんなことを、重々理解しながらも、やっぱり夢を見てしまうのが人間である。 全然関係のない話だが、昨年の目標で、靖国神社に行こうと決めた。 映画「風立ちぬ」や小説「永遠の0」に感動したから、というわけでもないが、本エッセイで大東亜戦争の経緯文を書いている人間が、靖国神社を行ったことがないのもどうかと思うのもあり、行くなら今年中と決めていたのだが、忙しさにかまけて、ついぞ行く機会を持たなかった。 そこで一念発起して、休みに入った12月26日に日帰り決行を決め、一人で名古屋から車を走らせ、念願の靖国入りしたら、ちょうど安倍首相が靖国参拝に来られるということで、規制線が張られ、参拝も待たされ、見たいものも見れずに残念な思いをして帰ってきた。 帰りに寄ったスカイツリーから見た東京の街は、黄砂が上空を覆って、何だかダブルで切なくなってしまった。 勿論人間の英知と呼べるものすごい建物に感動もして、大パノラマに広がる東京のビル群に圧倒もされたのだが、同時に、黄砂が包み込むように街を覆う景色に、何故こんなものを作ったのだろう、と思ってしまったからだ。 こんな高い建物を作らなければ、こんな切ない景色も見ることはないのに。 大きな建物や、科学技術が生活を楽しくしてくれるのは確かである。 しかし物質的な豊かさを追求しても、虚しさはいつもどこかにつきまとってくるのはなぜなんだろう。 人は発展し大きくなっても、常に虚しさを感じてしまうのは、人が生きる上で常に物足りなさを感じているからだろうか。 「幸福とは満足することだと思っているが、金持ちであるということではない」と言った、大きなねずみのいる遊園地を作った人の言葉があるが、物質的に豊かであっても、人は必ず満足するものではないのかもしれない。 少なくとも本当の金持ちのあの人が言うのだから、そうなのであろう。 僕は靖国に行った時に何となく幸福感を感じることができ、スカイツリーにおのぼりさんして、感動と同時に虚しさを感じた。 宝くじには当たりたいが、多分そこまで幸福にはならない気がする。でも当たったほうが良い。 人間って難しいなあと思ったりするわけである。 今回もまた前置きが長いが、今回はグレート・ギャツビーである。 言わずと知れたフィッツジェラルドの代表作である。 書かれたのは1925年だと僕の蔵書にあるので、ずいぶん前の物語だが、最近にもディカプリオで映画のリメイクがされた名作である。 僕は学生時代に映画で観た。 主演はロバート・レッドフォードで、「スティング」などで見せていた、男前だけど少しアウトロー感が物語にマッチして、完全にはまり役だったのを覚えている。 レオ様はどこか育ちの良さを感じられ、何となく違う感じだったが、さすがは名優で、レッドフォードとは違うギャツビー像を見せてくれた。 この物語は、フィッツジェラルド自身が語るような「貧乏な男は金持ちの令嬢とは結婚できない不当さ」にあるのだが、僕はこの物語を観るとある種の虚しさを感じてしまう。 多くの財を手に入れても、結局は愛する女性さえも手に入れることができない。 それはまるで豊かさを求めても幸せにはなれない、というテーゼを突きつけられているようで、またなんだか禅問答のような哲学的なものも感じ、もののあはれ的な切なさを感じてしまう。 同時にギャツビーはアメリカの象徴であり、どんな貧しいものでも豊かさをつかむチャンスはあると語りかける。 何だか矛盾しているが、精神の満足と物質的な豊かさを求め続ける人間の業のようなものがいつの世も普遍的なので、この物語は時代を越えて語られるのかもしれない。 追記: 安倍首相の靖国参拝はご立派だと思いました。 僕が行く日じゃなくてもとは思いましたが、隣人が嫌がっているからやめようという次元の話では無いと思いますので、良識ある行動だとはおもいます。 政治的にどうかはわかりませんが。
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