ザ・ハリケーン

監督 ノーマン・ジュイソン
出演 デンゼル・ワシントン
制作 1999年アメリカ

2012年大晦日:求めるための真摯な姿を見た人々によって、救いが得られることはきっとあるだろう

(2012年12月31日更新)

  • 学生の頃にバイト先で友達と話をしていたら、急に「『愛を語るより口付けを交わそう』っていい言葉だよね」って言い出した。 僕はそのフレーズにあるラブホテルを思い出し、「○○ってラブホ行ったやろ」と言うと、彼女は大変驚いて、「何で知ってんの?」となった。 彼女が言ったフレーズは、そのラブホにあったノート(どうやら部屋に泊まった人間がなにやら書いていくものらしい)に書いてあったフレーズで、僕は何となしに読んで、たまたまそこに書かれていたことを覚えていたのである。 その時は彼女とまあまあ盛り上がったのだが、しかし、ようよう考えれば同じラブホで、しかも同じ部屋に泊まっていたということは何となくいやな感じである。(お互い様だろうが) 偶然というのは時にあって、例えば昨日地元の大型ショッピングモールで会った友達と、翌日遠く離れたディズニーランドでも会ってしまうとか、かなり低い確率で起こる偶然というものは生きていくと何回かはお目にかかるものである。 そしてこういった偶然が時に奇跡と呼ばれたりするのだろう。 そして、人生は偶然の積み重ねでできていて、時にそれが正義を証明したり、大きな発明を生んだりするのだと思う。 ニュートンはりんごが落ちたから、万有引力を発見したわけではないだろうが、仮説の検証過程ではいくつかの偶然によって、あのニュートン力学を生み出したのだろう。 しかし、歴史に名を残した人々は、結果的に努力が報われたのだろうが、誰しもが一つのことに集中し、真実を求めれば、光が見えると信じたいが、世の中全てがそういった幸運だらけではない。 また、正直に生きていくから、人よりも大きな幸福が得られるわけではない。 そんな現実の厳しさを理解してはいるものの、いつかは間違いが正され、悪しきものは滅び、善なるものがあるがままにこの世に在るような、そんな世界を信じて来年も自分なりに頑張っていければ、と年末を迎えて思うわけである。 映画「ザ・ハリケーン」は差別によって生まれた冤罪を、自らの記した本に感動した、名もない少年の心によって、その冤罪が晴らされる実話を基にした映画である。 多くの差別から来る冤罪がそうであるように、杜撰な捜査の元、誰もがおかしいと思う不法な逮捕に対し、彼は牢獄の中からペンの力で訴え続ける。 それはまるで空に弓を打つような行為で、手応えもなければ、未来も見えない行為だろう。 しかし、いつかその矢が海を越え、人々の心に刺さるまで、彼は矢を放ち続ける。 やがて思いが多くの人々に広がり、それが大きな力になって、彼は自らの真実を証明することになる。 しかし、自らの正義を証明するために、30年以上も戦い続ける人生とは、気の毒である。 差別というものが、または偏見というものが、いかに無駄で、無益なものを生み出すのかが良く分かる。 人は一つの事を追及し、その追求したものへの答えを求めれば必ず報われると思いたい。 しかし、大抵の人は、それは実はひとにぎりの幸運であることを知っている。 夢は必ず叶うものではない。 しかし、求めるための真摯な姿を見た人々によって、救いが得られることはきっとあるだろう。 少なくとも叶わなくても報われる世ではあって欲しいものである。 そんなことを思い、今年もユニセフの募金をして、年末を迎える。 小さなことしかできないが、ちょっとでも差別のない、報われる世があるようにと願いつつ、除夜の鐘を聞こうと思う。 皆様、よいお年をお過ごしください。
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