バック・トゥ・ザ・フューチャー

監督 ロバート・ゼメキス
出演 マイケル・J・フォックス  クリストファー・ロイド
制作 1985年アメリカ

熱を失わない事が、多分これからの未来を良くするのではないだろうか

(2012年01月01日更新)

  • 昨年(2011年)9月に、名古屋大学などの国際研究チーム「OPERA」が、ニュートリノが光より速く飛ぶとの実験結果を発表し話題になった。 なぜ話題になるのかというと、科学では20世紀の大発明と言われる相対性理論が、光の速さが最速であると定義しているからで、これを覆すことは、現代物理学の根幹をひっくり返すことになるからである。 実験はスイスのジュネーブのフランス国境をまたぐ場所にある、欧州合同原子核研究所「CERN」から発射したニュートリノを、イタリアの地下研究所で検出するもので、「CERN」は、この他にヒッグス粒子を発見するための施設もあり、素粒子の世界では最先端の技術を備えた研究所となる。 ヒッグス粒子とは何なのかを説明すると、それだけで大部分の欄を使ってしまいそうなので、ウィキペディア的なもので検索してもらうとありがたいのですが、簡単に言うと素粒子(物質の最小単位)に質量を与える粒子(物質を構成するフェルミ粒子と力を表すボース粒子に分けられる)のことで、理論上だけで存在する粒子のことである。 例えば宇宙空間で光子(電磁気力を媒介にする粒子)が飛ぶときは何にも邪魔されず光の速さで飛ぶことができるのに対し、ウィークボソン(弱い力を媒介する粒子)は重さがあり、うまく飛ぶことができない。 これはウィークボソンが何かにぶつかることで重さが発生し、その何かとは、光子には影響を与えない、つまり電気を持っていないので、電磁気力を媒介とする光子を通す物質が何かあるらしい、ということになる。 その何かの正体こそがヒッグス粒子であり、このヒッグス粒子の発見をしたものこそがノーベル賞を取ることができるということで、近代科学の大捕物となっている。 話を戻して、今回計測されたニュートリノの速さについては、光より早いと何が問題なのか? これも簡単に言うと、光が最速とされることで、0だと思っていた数字にマイナスがあることを発見したようなもので、例えば相対性理論は時間という概念を物理学の土俵に上げた理論なのだが、この理論では、質量のある物体が光の速度に近づく時、その物体の時間の進み方は遅くなり、光の速度に達すると時間は止まると予測している。 ということは光より早い物質は、時間が止まったまま、もしくは時間が遡り、前の時間に戻るということが理論として考えられる。 つまり過去へのタイムトラベルが可能になるという話なのである。 2012年6月現在、結局この実験結果は、再考に価するとして、白紙に戻ったようであるが、しかし、ドラえもんの世界がもう近づいているのだと思うと、興奮してまだまだ死ねないなあなんてことを感じたりする。 これは映画のエッセイなので半ば強引に結びつけるようだが、こういうタイムトラベル的な話を聞くといつも、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出す。 シリーズ3作ある、若かりしマイケル・J・フォックスが過去や未来で冒険をして、今の時代をより良いものに変えようとする話なのだが、この物語は封切りされるや、映画館に立ち見が出る程人気だったのを覚えている。 僕自身もこの映画の1作目は、映画館に2回観に行くほどはまった。 この映画の人気だった理由は、一言で言うとこれまでオタク的な要素も強く、映画を観る側にそれなりの知識を要求してくるSFというジャンルで、恋愛ものやコメディー的要素を盛り込んで、誰しもが感じ入るような身近なストーリーにすることで、僕のような、SFに対する理解度が低い人間にでも楽しむことができる映画に仕上げたことだろう。 最近「トロン」を観たのだが、映像は確かに綺麗だったが、SFだったので、途中でやっぱり設定がこんがらがって、付いていけなくなってしまう。 何事もそうなのかもしれないが、一部の人が理解するものは、良さもあるのだろうが、その文化自体を閉じ込めてしまいがちで、より多くの意見を取り入れて分かりやすくすることで、活性化することがよくある。 冒頭の光より早い物質の話も、最近物理学で日本人が多くノーベル賞を受賞しているので、興味のある人もいるのかもしれないが、それでもたぶんほとんどの人が素粒子って何?状態だと思う。 この難しい学問は、特に平易な文章で、理解しやすく紹介していくことが、知る楽しさを広げ、たくさんの人からのアイデアを得ることができ、多くの人に向けてわかり易い内容を地道に発信することが分野の成熟を生むのではないだろうか。 今後の素粒子実験は、タイムマシンや、テレポートなどの空想の科学の世界を具体化するものとして、世界を変えるほどの力があるかもしれない。 しかしその力を造るためにも、人類の叡智を結集する必要はあるし、沢山の人の知りたいと思う熱意が何よりも大切であろう。 そういう熱を失わない事が、多分これからの未来をより良くするのではないだろうか。 できれば日本も、この素粒子の分野では2位ではなく世界一を目指してもらいたいものである。
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