こむらがえり  リンドバーグ

日本音楽の衰退

(2015年05月21日更新)

  • 最近久しぶりに「リンドバーグ」という言葉を聞いた。 リンドバーグといえば大西洋無着陸飛行を思い浮かべるが、今回の話はバンドのほうである。 最近再結成をして精力的にライブを行っているそうだ。 略歴を見ると1989年デビューということで、僕が高校生くらいの時にデビューしたバンドらしい。 らしいと書いたのは、彼らがヒットしている当時、僕は外国産のロックにかぶれにかぶれ、全身漆塗り状態だったので、気取って「ジャパニーズロックなんてギターも走ってなくてダセエぜ」的な感じで、あまり良くは知らないからである。 なので、歩道橋の上から見上げた革ジャンに、息切らして駆け寄った記憶も特に無い。 ギターの教本に「Oh!Angel」とか言うタブ譜があったので、少し練習したことがあるくらいである。 略歴の中の輝かしいヒット曲を見ると、なるほど知っている曲も数曲あって、間違いなく一時代を作ったバンドだとは思うのだが、しかし再結成して誰か見に行くのだろうか?と余計な心配をしてしまうのは僕だけだろうか。 世の中にはこういう、過去ヒット曲を作った後にバンドを解散して、その後再結成するみたいなパターンがあるが、再結成して最初は良いにしても、継続的に需要があるのだろうか?と思うことがある。 ずっとバンドを続けていたのであればまだ理解はできるのだが、一旦音楽から離れての再結成は、ただの小遣い稼ぎなのだろうか?とか思ってしまう。 何故そう思ったのかは、僕は「レベッカ」というバンドのファンで、それこそ昔はLPやCDは全部持っていたくらい好きなのだが、何かの音楽特番でボーカルのNokkoさんが歌を歌う姿に、やや幻滅してしまった記憶があるからである。 懐かしさより、昔との違いのほうが際立って、残念に感じてしまった。 バンド再結成の大部分は、それぞれだとは思うが、うがった見方をするとメンバーのお金の問題じゃないかと思う。 ヒット曲を持つバンドは再結成だけで話題になり、お金も集まるので、短期的に金を稼ぐ方法としては、まあ正攻法だとは思う。 しかし、イメージも大切なバンドが、拝金主義的に昔のヒット曲を落ちた鮮度で演奏する姿は、悲しくなってしまうことが往々にしてある気がする。 もちろんあの大震災をきっかけに、支援目的で再結成したプリンセスプリンセスのような例もあるので一概に言えないが、聞く側に生活費が欲しいのですと言う意図が伝わってしまうと、何となく残念な感情を感じてしまうのは僕だけだろうか。 とは言え、音楽業界全体の事情もあって、レコード売り上げの推移を見ると、例えばリンドバーグがデビューした1990年からあがり続けたCDの作成枚数も、現在はその頃の半分くらいにまで落ち込んでしまっているようだ。 理由はお分かりの通り、アプリからのダウンロードでCD購入層が減ったことだろう。 こういった新しいコンテンツの導入は、確実に音楽の世代間格差を生むわけで、CDをよく購入した僕たちの世代なんかは、新しい曲に出会う機会がめっぽう減り、CD販売店もこの状況下冒険しない商品作りになってしまい、CD屋で出会う音楽が急激に減ってきた気がする。 そうなるとヒット曲の出所がどんどん狭くなり、テレビでも偏った音楽番組しか作られなくなるので、必然的に情報を取ることが苦手な世の中のおじさん、おばさんは、昔聞いた音楽から情報が進まなくなってしまう。 そんな中に、昔好きだったあの曲を歌っている人が居る、ということで売れ始めたのがカバー曲である。 カバー曲はその曲を知らない若い世代にも受け入れられ、それなりのジャンルを築いたようだが、それも最近ではネタ切れなのか、今度はバンド自体を復活させよう、と言う動きになってきているように見受けられる。 つまりバンド再結成は、今の音楽業界のカンフル剤ではなく、ただのドーピングなのである。 本来やらなければいけないのは、ネット時代に対応する新しい音楽配信のあり方を考えることで、賞味期限切れのバンドを引っ張り出すことではない。 例えば音楽印税というものがあって、1枚CDが売れると、歌い手には1パーセント位の印税が入るそうで、作詞作曲を手がけるシンガーソングライターになると3パーセントくらいが収入になる。 その他カラオケでの印税も数円程度が入るので、確かに息が長く売れれば売れるほど収入は良いわけだが、海外のアーティストに比べると、その規模はややしょぼい。 例えば3000円のCDが100万枚売れても、印税は3000万なので、サラリーマンには凄いが、ヒット曲なんかは誰でもが持てるものではないので、こんなものかなあ?位の印象である。 そもそも解散も、大体がメンバーの関係悪化が原因なのであれば、ビートルズの後期のように、ライブ活動を止めて、スタジオでの楽曲つくりに専念すれば良い。 ライブに行くから喧嘩するのであって、スタジオで音楽を作る関係だったらそれこそビジネスライクに片付けられるのではないか。 結局はお金が日本の音楽を衰えさせている一つの原因ではないか、と思うのは僕だけだろうか。 そもそもアーティスト以外の取り分も、いろんな人がかかわるから高いのであって、そういうものは技術が進化してそれぞれ安価にできるようになっているはずなので、アーティストへの金銭的手当てはもう少し厚くして、逆に著作権の時期を発表から10年くらいまでにして、それ以降は誰でも自由に使って良いですよ、みたいにしておけばいろんなバンドがアレンジできるようになって面白いのではないだろうか? 「天才バカボン」をテクノポップにアレンジして歌うアイドルが居たが、これはこれで十分に楽しい。 音楽も権威や保守的なものにとらわれることなく、いろんなものが出てきて欲しいものである。 是非とも森進一さんには「おふくろさん」テクノポップバージョンとかを作って出してもらいたいものである。
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