ボンクラ  らっきょう

芸人の名前のつけ方

(2012年12月28日更新)

  • 年末の漫才番組を観ていたら、大阪の芸人で「パラダイス中川」という方が決勝に来ていて、名前に何となく懐かしく感じた。 僕が大阪出身で、しかし今住んでいる愛知県に久しくいて、単純に彼らの大阪らしい雰囲気に、昔いた大阪の地を懐かしんでいるのではなく、単純に芸人の名前の古臭さに懐かしさを感じたという意味である。 昔のお笑いさんには、洋名と日本名を合わせた芸名なんてものが多くあって、古くはトニー谷、レオナルド熊、新しいところではダンディ坂野、ムーディ勝山などだろうか。 そのセンスは基本古臭いのだが、一度聞いたら忘れないインパクトを持っていたりする。 パラダイス中川さんは残念ながらブロックで落ちてしまったが、名前はしっかりと覚えさせていただきました。 僕は最近はそうでもなくなったが、昔は他社の営業の方と会う機会が多く有り、月に10人以上の人と会うこともそんなに珍しいことではなかった頃、よく訪れた人に名刺を渡したかどうか分からなくなることがあった。 来社の際に当然名前を聞いて調べたり、思い出そうと努力はするのだが、やはりインパクトのない人は覚えることができない。 逆にあまり重要な案件でのご訪問ではないにもかかわらず、いつまでも覚えてしまう人は、やはりどこかにインパクトがある人が多くいた。 10年近く前に外部で入力委託を行う会社を探している時にあったある営業は、営業とは思えぬロン毛で、顔は内田裕也さんそっくりの方だった。 話していても「何でお前が営業やってんねん」と3回は心で突っ込んだので忘れられず、今でも悪い意味で顔を思い出すことができる。 彼のインパクトが営業成績にどう働いているかは別問題だが、芸人さんはインパクトはやっぱり大切で、こういう話を考えると最終的には「たけし軍団」に行き着いてしまう。 雲散霧消で雨後の筍バリに出ては消えの芸能界で、この軍団の名前はなかなか忘れない。 ラッシャー板前さん、そのまんま東さん、大森うたえもんさん。 完全にふざけていて、しかも名前が体を表しており、完全に記憶に残る。 玉袋筋太郎さん何かは、どう考えても体を表していないはずだが、そう見えてしまう。 岸部四郎さんを今でもカッパと思ってしまうのと同じくらい、僕の中では玉袋~がしっくりくる。 同義のネーミングの王様は井出らっきょうさんで、それまでらっきょうというものをあまりちゃんと見たことがなかった僕でも、らっきょうを見た時にこのネーミングの妙にいたく感心してしまった。 たぶんらっきょうを名前に持ってくる発想は、世界広しといえどビートたけしさんくらいではないだろうか。 このままだと芸人批評で終わりそうなので、最後に薀蓄っぽいことを書くと、らっきょうはカレーの添え物として有名だが、代名詞としてより有名なのは福神漬けである。 何故この2種類なのかを調べてみると、日本カレーの創世記の明治時代に話は遡る。 福神漬けはそもそものインドのカレーの添え物だったチャツネを切らした日本郵船の一等客船の食堂で、代替え品を見た目が似ていた福神漬けを使用したためで、日本人の口にもその甘い味があったのだろう。 それにしても一等客船の食堂生まれとは、福神漬けの発祥は何となくハイソ感がある。 一方らっきょうも実はカレーの添え物として当時定着していたピクルスが手に入りにくいので、味覚が似ているものとして、甘酢のらっきょうが選ばれたそうで、生レバーが無くなったのでこんにゃくで似たものを作ってしまったどこかの会社のような庶民感が感じられる。 因みに僕は文面からもわかるかもしれないが、カレーはらっきょう派である。 名前を付ける感覚でも、どこかに才能を感じてしまう。 非凡なる才能はどこかしらにも見え隠れするものである。 深読みしすぎだろうか?
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