渡辺美里 「My Revolution」

若いうちにしておくほうが良いものがあるのならば 好きな音楽を見つけておくことではないかと思う

(2012年01月更新)

  • 若かりし頃の色んな思いは、そのとき一緒に過ごした曲を聞いたとき、フラッシュバックのように蘇ることがある。 その光景は本当に何気ないものが多くて、普段はどうということはないのだが、疲れているときは何だか癒されて、そしてまた頑張ろうと思える。 僕は渡辺美里さんの曲が大好きで、一人でスキーに行った帰りとか、長距離運転の車中にかけるのだが、本当に元気になれる。 学生時代にさんざん聞いていた曲ばかりなので、そらでも歌えるし、その曲を聴くと楽しかった光景なんかを思い出して、時間を経つのを忘れ、辛い運転も苦なく行うことができる。 美里さんの曲に「悲しいね」と言う曲があるのだが、僕はこの曲を聴くと決まってスキーに行くバスの中のくもりガラス越しに見える何もない中の雪景色を思い出す。 僕は大阪は新大阪駅からほど近い所に住んでいたので、学生時代にスキーに行くときは、バスを利用し、そのバスは決まって夜8時位に出発するので、スキー板とキャリーバッグを持って、新大阪駅の裏側にあるバス停留所のようなところまで歩いて向かい、そこで友だちと合流してスキーに出かけた。 向かう場所は大抵信州の志賀高原かその周辺で、車中のはじめはそれなりに話をして盛り上がるのだが、深夜帯になるにつれて、一様に仮眠を取るのだが、僕は雪景色が好きで、高速を降りて走る信州の道を、渡辺美里さんの曲を聴きながら、しんみりとしていた。 雪景色を見ていると、なんだが何も考えなくていいような気分になり、ただ彼女の凛とした歌声とバスのエンジン音が世界を包み、言いようもない心地よさを感じていた。 僕は高校1年生からスキーに行かなかった年は一度としてないのだが、毎年渡辺美里さんの「悲しいね」を聴くと、この時と同じ思いがよみがえる。 「Lovin'You」を聴くと、大阪に珍しく積もった雪の日の出来事を思い浮かべるし、「サマータイムブルース」を聴くと、大学受験に向かう電車の混雑を思い出す。 「卒業」を聴くと、近所の2つ下の後輩の女の子に受験の追い込み勉強を教えに行った日を思い出すし、「ティーンエイジウォーク」を聴くと、年上の女の子と別れた宝塚駅を思い出す。 不思議と冬が多いのだが、今も車に積まれた渡辺美里さんの自分編集のベストCDのどの曲にも、そんな何だかよくわからないどうでもいい思い出がくっついている。 青臭くて、恥ずかしい言い回しをすると、渡辺美里さんの曲は僕の青春そのもので、確実に特別な存在になっている。 誰しもこのような音楽はあるのではないだろうか? 僕はここ何年か彼女の曲を聴く機会が本当に少ない。 家に眠る10枚のアルバムも、いつしか棚の奥の方に追いやられている。 彼女の歌を聴くことも年に何回かの車の中だけで、本当に過去の曲になってしまった。 最近ギターを持って、楽譜をネットで探していると、彼女の最初のヒット曲と言える「My Revolution」があったので練習してみた。 この曲は初めて渡辺美里を知ることになった曲で、当時はあまり好きではなく、思い入れもなかったこの曲に対して、改めて曲を聴いてそれにあわせてギターを弾いてみると、曲が作ってみたくてギターを始めた高校生の頃の自分の感情を思い出した。 あの頃と違って「ギター弾けるってなんか格好よくね?」という感情は、今はもうなくなってしまったが、純粋に音楽を作りたかった事を思い出し、この日は熱心に練習をしてしまった。 僕にとってこの人の歌は本当に特別なんだなあと思い、そんな曲を今でも持っていることが、何だか嬉しかった。 もしも若いうちにしておくほうが良いものがあるのならば、好きな音楽を見つけておくことではないかと思う。 経験を重ねてからでは、このような全てにおいて特別な音楽は見つけにくいのではないか、と思うからである。 運良くそのような曲に出会えると、それはそれでラッキーなので、若い人には1食抜いてもいいから、色んな音楽を聴くことをオススメします。
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