ジャイ子  コンビーフ

コンビーフの歴史

(2019年05月28日更新)

  • 我が家の食料の在庫置き場に長期間置き去りにされるものに、コンビーフとお酢がある。 無論ご家庭によって違うとは思うのだが、お酢はあまり料理に使わないけど何となく常備しておかなければと買ってしまい、コンビーフは田舎からの救援物資の中に入っていたりする。 お酢については調味料なので、まあ多少は仕方がないのだが、コンビーフは特に小腹が減った時なんかに一度手に取って見たりするのだが、結局どのように料理したらよいかわからず放置してしまう。 そもそもコンビーフは、その見た目から何の肉だろうとも思うし(まあ、ビーフ【牛の肉】なんですが)、コンビーフのコンは混ビーフで混ぜ物の肉なのかとか思ってしまう。 そんなこんなでなかなか食べられずに、しかも悪いことに缶詰なのであまり賞味期限は気にしないので、気づけば食べられる期限から3年も経っていたりして、無理やりマヨネーズなんかをかけて食べる羽目になってしまう。 本当はどうやって食べるのだろうと、料理レシピサイト何かをみたりするのだが、どれもいまいちおいしさが伝わってこないのは僕だけだろうか? 同じような食べ物で、スパムというものがある。 主に沖縄なんかで好んで食べられると聞くのだが、こちらは形状もハムなので比較的わかりやすい。 焼いてしょうゆを垂らして食べるだけでも十分においしいし、ゴーヤがあればチャンプルにして食べてもかなりおいしい。 僕はパソコンを生業にしている人なのでスパムと聞くとすんごい迷惑そうなやつというイメージを持ってしまうのだが、僕にとってはコンビーフのほうがスパムっぽい。 一応うんちくサイトでもあるので書くのだが、スパムメールのスパムの由来もこのスパムからきているそうで、イギリスのコメディ番組「モンティパイソン」で出てくる話から引用されているらしい。 興味のある方はググってみてください。 そんな知識を持って家にあるコンビーフを眺めているとよくよく変わった缶詰だなあと思ってしまう。 たいていの商品は缶詰だと思うのだが、最初開け方がよくわからなかった台形の形は何か必然があるのか? そもそもコンビーフは、味や見た目から察するに保存食として作られたものだと思うのだが、そもそもビーフジャーキーのような日持ちする肉製品があるのに、何故缶詰として作ったのだろうか? そんなことを思い少しだけ調べてみると、確かにコンビーフは保存食として作られたもので、結構歴史は浅く1948年に野崎産業という会社が日本で初めて作ったとのこと。 戦前からあるのかと思っていたが、戦後に栄養価の高い食べ物として普及させようとしたそうで、あの独特の缶の形も缶切りが一般的ではない時代に作られたので、缶切りが無くても開けられるために作られたもののようだ。 そう思うとあの独特の形状も秀逸に思えてくる。 食べ方もどうなのかと調べてみると、コンビーフハッシュなるものが沖縄にはあって、ジャガイモにコンビーフを和えたものなのだが、ソウルフードとして定着しているらしい。 僕のように食べ方に困るという人はそんなにはいない。 とは言え、現代において他の食材と迎合せず、オンリーワン的たたずまいを感じるコンビーフは、日本で発売されてから80余年を経過しても、いまだ根強い人気がある。 考えてみればこういうものは随分少なくなったなあと思う訳である。 例えばコーラの瓶もペットボトルや缶に代わり、そのペットボトルも石油を原料とするポリエチレンテレフタレート製から再生紙でできたものを開発しようとしている。 町の信号機もLEDに代わり、電話機は携帯に代わった。 そんな中、すでに缶切りが普及したにもかかわらず、また高栄養の食事が十分にいきわたっているにもかかわらず、その形を変えず、変わらず時を刻んでいるものは、何か郷愁に似た感情を思い起こさせるのかもしれない。 そんなことを思っていた時に、警察が出していた違反者からのクレーム(というか愚痴)で上位だった意見に、「みんなやっているのに何で私だけ」というものがあった。 もう何十年も前にどこかの府が路上駐車の取り締まりに「皆止めてるやん」と逆切れなさった公共広告を思い出す。 一番変わらないのは人間の本質なのかもしれない。
■広告

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
↑↑クリックお願いします↑↑

Previous:ジャイ子 Next:不幸の手紙 目次へ