シンデレラ

監督 ケネス・ブラナー
出演 リリー・ジェームズ ケイト・ブランシェット ヘレナ・ボナム=カーター
制作 2015年 アメリカ

定番だからこそできる見せ方もあるものである

(2015年09月17日更新)

  • 先日、何気ない会話をしていたら、子どもの頃にどんな夢を持っていたか聞かれ、やや閉口してしまった。 何故閉口したかというと、子どもの頃に、明確な夢を持っていなかったからである。 何となくお金持ちになりたいなあ、位はあったかもしれないが、こんな職業に就きたいみたいなものはついぞ持ったことが無い。 さもしい子ども時代だったなあ何て思い返してみるが、確かに僕には憧れの人もいなければ、将来の自分の姿もあまり思い描いたことが無いことに気づいた。 人生も半ばを過ぎて、未だにそんなことを言っている時点でダメだなあと思ったのだが、とは言え今頃先の夢を実現させるために頑張るのも、何だか重たくて嫌だなあ、何てことも思ってしまう。 ただただ、この先、惰眠をむさぼりながら生きていくのだけは避けなければと思いつつ、僕の小さな子ども達には、将来に向けた夢を持ち続けて欲しいなあ、何てことも思ったりもする。 とにかく、昨日から学び、今日を生き、明日へ期待する毎日を送っていくことが、目下の希望を持った生き方かもしれない。 子どもが夢を持つことは、現代社会では結構たやすい。 沢山の仕事や、多くの情報を得ることができ、毎日色んな選択を子ども達は行っている。 小学校低学年の子どもでも、スマホ一つで物知り博士になれる現代において、子ども達は情報の的確な取得方法を心得ている。 何故こんなことを書くかというと、先日キッザニアという、子どもが疑似的に仕事体験ができる、巨大おままごとアトラクションが兵庫県の甲子園にあるので、小学生の子ども達を連れ立って行ったのだが、ただの遊び場とは言え、子どもが仕事について触れることができるという意味において、なかなかよい施設だなあと思った。 アトラクションのように、ころころと仕事を変える人間になってしまっても困るのだが、遊びから学ぶことができるという点で、子どもの成長を感じることができた。 子ども達は、いかにして自分の興味のある仕事を行うことができるかを考え、時間の調整で仕方なくやった仕事が、思いのほか楽しさを感じることがある、というような体験することで、まずはトライしてみることの大切さを感じていたようだ。 今はおままごとでも、自らの意思で取捨選択を行う体験をすることは、将来的に自分の考えを持つことの大切さを知るきっかけに繋がるかもしれない。 とやや堅苦しい話が続いたので、やわらかい話を書くと、昔何かの本で読んだ話に、こんな話がある。 将来何になりたいか?と聞かれた男の子が、お父さんと答える。 横にいたお父さんは当然喜んだのだが、理由を聞くと、いつも日曜日にごろごろして、お母さんばっかり働かせて、楽そうだからと答えたと言う。 なかなか洞察力のある子どもである。 ということで今回は子どもの頃の夢をテーマに書いているのだが、映画紹介は「シンデレラ」である。 多くの女の子が夢見た、世界中にファンも多いこの物語を実写化したのは、ケネス・ブラナーと言う、古典を題材にするのが得意な俳優兼監督の才人である。 どんな映画になるのか楽しみに見ると、完璧なシンデレラストリーが描かれていた。 シンデレラについては、本エッセイサイト「しりとりえっせい」内でも書いたので、また時間のある時にでも読んでもらえたらうれしいのだが、シンデレラストーリーが何故ここまで多くの人に好まれたのかは、その物語の運びに3つの以下要素があると考える。 まずは「勧善懲悪」であること。 主人公が美しく清楚で、且つ純真であれば、それだけで善なるものとし、対する悪はおぞましく、底意地が悪く、醜ければそれに越したことはない。 最初は美しい善が悪に打ち負けるが、最後は逆転することで、世の中の条理として正しいものが勝つことで、見る側は安心をする。 次に「考えなくてよい」こと。 物語があまりにトリッキーだと見る側を選んでしまう。 また矛盾が多ければそれだけ興ざめてしまい、見る側が物語に入り込む時間を削ってしまう。 なるべく内容はシンプルなものがよい。 最後に「愛が描かれている」ことである。 シンデレラは無邪気で絶対的な善の存在であり、誰もが幸せを願う女性である。 その天使性に女の子は憧れ、物語は幾世紀も越えて語られている。 思い返せばシンデレラの実写版は、内容も完全ネタバレなので、物語は皆が知っているのでストーリー性に期待して見に行く人はいないだろう。 魔法も、ビビデバビデブー的なものなので、映像技術化もそこまで高いものは期待しない。 映画で力を入れるべきものは、このおとぎの世界をどういったキャスティングで魅せていくかにかかっていると思うが、さすがは長くして映画に携わる監督だけ合って、文句のない世界観でした。 映画はストーリだけが全てではなく、定番だからこそできる見せ方もあるものである。 逆に演者の魅力というものは定番だからこそ安心感があってよいのかもしれないなあと思い、久しぶりに「寅さん」でも見たくなった。
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