マイナスイオン効果の正体は?

なかなかに想像力が逞しい話ではある

(2013年06月05日更新)

  • 最近気づいたのだが、ドライヤーの横に「ion」なる文字があって、どうやらドライヤーからマイナスイオンを発するらしい。 そんなのがあるのかどうかは知らないが、ドライヤー界ではマイナスイオンは有名のようで、猫も杓子も電化製品は今や、イオンが売りである。 イオンと聞くと何となく、清涼感があって、どことなくリラクゼーションな効果が期待できそうな気がする。 しかし、大抵の人はマイナスイオンなるものが科学用語でも無いことを知っていて、もっと言うと健康に良いかどうかに疑問を持っている。 そもそもイオンってなんだろうか?ということは、多分高校で化学教育を受けた人なら理解していると思うが、なんてことはないただの原子である。 そのイオンに健康効果やリラクゼーションがあるのかは、専門的なことはよくわからないが、人間はそもそも分子でできていて、そのほとんどが水という比較的単純な分子構造で構成されているので、何となくイオンが体に影響を与えそうな気はする。 しかし、そもそもマイナスイオンというものがどういうもので、どういう効果があるのだろうか。 マイナスイオンは、一般的には陰イオンを指すそうだ。 陰イオンとは電子を受け取って負の電荷を帯びた原子のことで、空気中に存在する電子(e-)を取り込むことで、その原子集団はマイナスの電気を帯びることになる。 例えば原子核の陽子が17個ある原子に関して、電子を18個持つことで安定する物質は、プラスが17、マイナスが18個の集団なので、マイナスの電気を帯びていると考えられる。 このような状態は自然界では複雑ではあるが珍しくない現象としてありえる。 陰イオンの話をすれば、このようなイオン構造になるものは、水道水のカルキである塩素がそうなのだが、他にも硝酸イオンなど決して体に良くないものもある。 しかしこの陰イオンを作るとなると、これは通常だと難しい。 家電のマイナスイオンは空気清浄機の説明なんかをネットで見てみると、コロナ放電で電離を起こして出来たイオンのことらしく、それが一般的なマイナスイオンを指しているのかは正直よくわからない。 コロナ放電といえばバイク乗りだった僕はスパークプラグを思い出すのだが、それだけとって考えてみても、技術的にはそんなに難しくはなさそうだ。 確かにバイクに乗ると癒されはした。 本エッセイを書くためいろいろ調べてみると、もともとは滝の近くにマイナスイオンが出ているというものが、マイナスイオンの癒し効果、健康改善効果の論拠のようで、これは20世紀初頭前後にドイツの気象学者フィリップ・レーナルトが、「水滴が微細に分裂して摩擦することによって空気が負に帯電する」というレナード効果という学説が元になっているらしい。(抜粋ウィキペディア:マイナスイオン) 要は大きい粒はプラスに、小さい粒はマイナスに帯電する、ということを言っただけなのだが、本当にそれがベースになっているのならば、なかなかに想像力が逞しい話ではある。 もっと調べると「石を置くだけでマイナスイオンが」とか「蛇口につけると、水にマイナスイオンが含まれる」ものまであるらしい。 石を置いていて物質を陰イオンにすると言うのもすごい話で、なんらかの放射線が出ていそうなので、放射能による被曝が心配になってしまう。 考えてみたらマイナスイオンがどうしてここまで世の中を跋扈しているのだろうか。 それはひとつに、科学の力を引き合いに出していることと、今まではこのような眉唾に手を出さなかった大手メーカーが、誰それ構わずマーケティングに乗り出していることだ挙げられる。 健康効果はそもそも個人による引き合いなので、言い換えれば健康になるらしいでも売ることはできるし、「世間がマイナスイオンがいいって言っているから作ったまでです」で言い逃れもできそうだ。 そこにものづくりのプライドはあまりないように感じるが、それは消費者側にも問題はあるように感じる。 マイナスイオン効果は、紅茶キノコやロングブレスダイエット位に考え、まあ気休め程度になら良いのではないかなあ、とは思います。
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