看板に書いた無断駐車の罰金は有効か?

民事法の考え方と罰則についての在り方

(2012年04月21日更新)

  • 最近の郊外型のスーパーの商業施設は本当に凄い。 何が凄いかって、人の数がとんでもなく多い。 よくもまあこんなに暇な奴がいるもんだと毎度思うのだが、自分もそのうちの一人なので、人のことは言えないなあとつぶやきながら、所在無さげに奥さんの後ろを、それこそ金魚のフンのようについていく。 せっかくの日曜日に、そんな目的ない流浪民のような人で賑わうのだから、日本の先行きも不安になってしまう。 何度も言うが僕もそのうちの一人なのですが。 僕は人ごみが苦手で、生まれが新大阪の駅の近くで比較的都会育ちなのだが、昔から人が多いところに行くと、大変な疲労をしてしまう。 特に普段人が少ないところなどにたくさんの人がいたりすると、いらいらしてしまったりもする。 先日京都に旅行に行ったのだが、連休の影響もあってかそこかしこで渋滞したりして、運転する気も失せかけたのだが、目的地だった京都水族館周辺もオープンしたてだった(H24年3月中旬のお話)ことも手伝って、周辺の駐車場の無さと、水族館の人の多さに、みんな消えてなくなればいいのに、と最低なことを思ったりもした。 結局数キロ離れた有料パーキングに車を入れたのだが、こういう時はいつも路上駐車の誘惑にさらされる。 日曜は休んでいる、病院や会社の駐車場に止めても大抵は分かりはしないので、周辺にそういう施設を探したりもするのだが、若いうちならともかく(若いうちもいかんことはいかんが)、いい年したおっさんが人に迷惑をかけるのも何なので、結局は駐車場を自力で探すことになる。 いけないことだが若い頃、同じように駐車場が近くに無く、何かの商業施設に車を停めようとした時に、看板に「無断駐車は3万円貰い受けます」などと書いてあったが、無視して停めたことがある。 停車の時間が短かったことと、そんな看板を出すくらいだから、あまり見てないんだろうなあと思ったからで、よくみかけるこの文言は何の意味があるのだろうと思っていた。 例えば、それを発見した主は、無断駐車の人に3万円よこせというのだろうか? そんなこと言われたところで、無視して逃げればそれまでの話ではないか? それよりも「無断駐車は通報します」とか「無断駐車は施錠します」の方が、正直ビビってしまうと思うのだが、「3万円貰い受けます」と書かれていると「取れるものなら取ってみろや」と反発してしまうのは僕だけだろうか? そもそも、この3万円は正当なのだろうか? 何故わずかばかりの時間止めただけで3万円なのだろうか? まあ金額についてはまちまちで、だいたい1万円から3万円位がほとんどだろうが、これは何基準なのだろうか? 近所で調べると何故か一律1万円だった。僕の住む愛知県ではこれが相場だろうか? 確かに愛知県の駐車場の相場は、月で1万円から数千円程度なので、1ヶ月分くらいを請求されているとなると、請求額としてはこんなものかもとは思ってしまう。 これが都心や大阪になるとまた金額が変わるのだろう。 推測だが実際に取られると高いが、まるっきり法外でない値段を設定することで、受け手側にリアリティを持たせているのだろう。 とはいえ、実際にこの看板のような、無断駐車に対しての金額の徴収は出来るのかを考えてみた。 民事法の概念で自立救済の禁止というものがある。 自立救済とは聞き慣れない言葉なので簡単に言うと司法の力を使わず、自力で自分の権利を奪い返すことであるが、これは禁止している。 理由は、力による行使が前提となるため、より権力または富を有する者が有利に働くことになるからである。 例えば不動産の賃借で、貸主が借主を追い出したいがために、勝手に鍵を変えたり、家を取り壊したりしてしまっては、借主の生活を脅かす可能性が出てくることになる。 力こそが正義となり、理不尽な請求もまかり通ってしまう。 つまり法的に正しいとしても力の強いものが独自でその力を行使してしまっては、世の中力のあるものが勝ちみたいになってしまう。(まあ実際にはそうなのかもしれないが…) この考えに照らすと、3万円の請求は自立救済に当たるので、実際に請求してはいけないという事になりそうだ。 しかし、この考えはあくまでも概念なので、相手が屈強な男で、車が止まっている写真何かがあって、看板も相当に目に付くところにあった場合には、請求することはできるのだとは思う。 まあ、力ずくでこられたら反発したくはなるけれども。 では、仮に訴訟を起こしたとしよう。 この場合の3万円という金額は妥当なのだろうか? これは微妙なところがあって、一般的には通常金額に対して、3倍くらいが妥当なようだ。 根拠は電車やバスの不正乗車はその運賃の3倍に規定されており、実際に請求された事例もあるようだ。 そこから推定するに、実際に看板を目にして、その金額が周辺の駐車料金の3倍程度であれば、十分に請求が出来ることになる。 愛知県の場合は、だいたい一時間駐車して500円から1,000円位だから、1万円は少し暴利ではあるが、そもそも看板に書いてあるのを認識した上で停めていることが立証できれば、当然ながら納得して停めていると認識されるので請求はできる。 しかも、私有地の場合は、建造物侵入やら、業務妨害だのの恐れもあるので、まあ無断駐車側に勝ち目は全く無い。 金額については看板を見ていないと主張するくらいしかできないので、駐車場に大きく看板が貼られているケースなどは、もう諦めるしかないだろう。 やはり他人の権利を侵害してはいけないということだろう。 結論は、看板に書かれた「無断駐車は3万円貰い受けます」は有効である。 商業地や観光地は、病院や駐車場も、休みの日は有料でもいいので一般に開放してくれれば助かるなあとは思う。
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